最後の願いを買う本屋

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最後の願いを買う本屋:第7話「最後の客」

前回の話第7話「最後の客」季節は巡り、私はまだ願えずにいた。ある日、願書堂を訪れると、老人が店じまいの準備をしていた。「閉店するんですか?」「ええ、そろそろ潮時です」老人は本を箱に詰めながら言った。「でも、まだ願いを求める人はいるでしょう?...
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最後の願いを買う本屋:第6話「本に閉じ込められた物語」

前回の話第6話「本に閉じ込められた物語」願書堂の片隅で、私は奇妙な本を見つけた。他の本と違い、鎖で縛られていた。「それには触らない方がいい」老人が警告した。「なぜですか?」「その中には、ある作家が閉じ込められています」私は驚いて本を見つめた...
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最後の願いを買う本屋:第5話「星を返品した少女」

前回の話第5話「星を返品した少女」次に願書堂を訪れた時、店内には高校生くらいの少女がいた。彼女は大きな箱を抱えていた。「返品をお願いします」少女はきっぱりと言った。「返品?」老人は眉をひそめた。「うちは返品は受け付けていませんが」「でも、こ...
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最後の願いを買う本屋:第4話「間違えた願い」

前回の話第4話「間違えた願い」ある雨の午後、願書堂に一人の中年男性が駆け込んできた。彼はずぶ濡れで、顔は青ざめていた。「大変なことをしてしまった」男性は震え声で言った。手には『最後の願い』の本が握られていた。「どうされました?」老人は落ち着...
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最後の願いを買う本屋:第3話「口笛しか吹けない歌手」

前回の話第3話「口笛しか吹けない歌手」数日後、願書堂に奇妙な客が現れた。若い女性だったが、私が挨拶をしても、彼女は口笛で返事をした。「ああ、マリさん」老人は彼女を知っているようだった。「また来てくれたんですね」女性——マリは頷くと、カウンタ...
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最後の願いを買う本屋:第2話「少年の1ページ」

前回の話第2話「少年の1ページ」翌日、私が願書堂を訪れると、店内に小学生くらいの少年がいた。彼は本棚の前で、じっと一冊の本を見つめていた。「それが欲しいのかい?」老人が優しく声をかけた。少年は振り返ると、涙で濡れた顔を見せた。「お母さんが、...
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最後の願いを買う本屋:第1話「古びた本屋の秘密」

駅から三つ目の角を曲がった路地裏に、その本屋はひっそりと佇んでいた。看板には「願書堂」とだけ書かれている。扉を開けると、カビ臭い空気と共に小さな鈴の音が響いた。薄暗い店内には、天井まで届く本棚がぎっしりと並んでいる。「いらっしゃい」カウンタ...